「マインドセットを整えれば全てうまくいく」と期待した人は多い。しかし、実際には「マインドを整えたのに、現実は変わっていない…」と感じること人がほとんどだ。
この記事では、スティーブ・チャンドラーの新刊『The Power of Systems』をもとに、ライフコーチにとって重要な システム思考 を紹介しながら、お金を生み出すマインドセットをお伝えする。
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1. マインドセット vs. 行動 – なぜシステムが必要なのか?
「幸せ」と「現実を変えること」は別物
ライフコーチやスピリチュアル業界では、「マインドを整えればすべてうまくいく」という声も多い。しかし、幸せを感じることと、実際に現実を創造することは、時間軸も違えば、プロセスも違う。
ポジティブ心理学では、「幸せになることは簡単」と言う。
なぜなら、幸せを感じるのは「今すぐ」「誰でも」「捉え方を変えるだけで」できるからだ。しかし、新しいスキルを身につけたり、ライフコーチとして経済的に豊かになるには、長期的な行動が必須だ。
例えば:
- 瞑想をすると気持ちは整うが、それだけでは英語は話せるようにならない。
- 感謝を習慣にすると幸福感は高まるが、それだけではコーチングスキルは上達しない。
- 「お金は簡単に手に入る」とアファメーションをしても、クライアントが増えるわけではない。
書いてみると当たり前にみえる。でも、無意識に「マインドを整えたら、すべてがうまくいく」と期待してしまうことはよくある。
そしてうまくいかない時に、原因探しをしてまっさきに疑うのは「自分」。「自分が悪い」と思うことが、実はものごとを必要以上に複雑にしてしまう。
ここでハッキリと意識したいことは、幸せになるだけでなく、さらに現実を変えるには「行動のシステム」が必要 だということ。マインドにとらわれる必要はない。
2. システム vs. 個人的なマインド

「行動できないのは、自分のせい」ではない
多くの人が、「行動できないのは私の意志が弱いから」「過去のトラウマが影響している」と思いがち。またそういうことを強調するライフコーチやスピリチュアルコーチもいる。
しかし、スティーブ・チャンドラーの『The Power of Systems』では、行動しやすいシステムを作ることこそが成功の鍵 であると言う。
例えば:
- 「毎朝、1章、自己啓発の本を読む」 → 1ヶ月で1冊を読み終えるシステム
- 「週に1回水曜日に、過去のクライアント5名に連絡を取る」 → コネクティングのシステム
こうした 「行動しやすい環境を整えるシステム」 を作ることで、意志の力や個人的な性格や過去に頼らず継続的に成果を出せるようになる。
例えば、私も致知という雑誌をオンラインで2年ほど購読しているが、最初の1年間はほとんど読めなかった。でも、去年の10月より、毎月すべての記事を読むようになった。
なぜなら、「毎朝1記事を仕事前に読む」というシステムを導入したから。ここでマインドはほとんど関係ない。読みたいから、読めるシステムを考えた。そして、試したところうまくいっているので、そのまま継続している。
この時、読めない私はダメとか、読まない私はできない人、などの読めない理由探しは、まったくしていない。読むためのシステムを作っただけだ。
自分で暗示をかけていないか?
「なんで、私は行動できないのか?」「なぜ、私はうまくいかないのか?」その理由をみつけようと、自分を深く、深く、顧みるワークを続けてしまうと
その結果、
- 私はどうせこの程度という思い込みがあるから
- 私の子供の頃のトラウマのせい
- まだ親との関係が完全に癒やされていないから。
など、探せば探すほど、次から次へと「うまくいかない理由(私が悪い理由)」が出てくるときは、要注意だ。
確かに、トラウマや過去を癒すことはとても大切だ。私も癒やしのプロセスには、かなりお世話になっている。でも、癒やしが終わっていないから、うまくいかない。というのは本当に真実だろうか?
癒やしが終わらなくても、うまくいっている人はいないだろうか?思い込みがあっても、うまくいっている人は本当にいないだろうか?
この世に、完全に癒しが終わり、全ての思い込みを手放して、精神的に自由になった人は、どのくらいいるだろう?
私のメンターのキャロラインも「癒やしが終わらないから、あなたはうまくいかない。という人は無視しなさい。それはウソだから。」とハッキリと言っている。この言葉に私は救われた。そもそも癒やしとは、一生かかるプロセスであり、一度ワークをしたらそれで全て解決というものでもない。
「〇〇だからうまくいかない」とさも真実のように感じるときは、自分で自分に暗示をかけていないか?一度客観的に振りかえってみよう。そのとき、もし〇〇が問題ではなければ、他にどんな可能性があるのか?問いかけるのも、真実をみつけるには有効だ。
例えば、私はこの程度と思っていることが、クライアントと成約することとは関係なかったら?売上とは関係なかったら?自分の性格や思考以外で成約できていない理由はなんだろう?
何でもかんでもマインドのせいにして、マインドを整えるためにがちゃがちゃやっている状態を、この本ではルービックキューブを延々とやっていることに例えていた。ルービックキューブの全面を揃えるには、Youtubeで揃え方の動画を見ながら、順番に回していけばできる。ルービックキューブを完成させるシステムだ。
マインドに過度にとらわれることなく、現実を変えるためのシステムを作ってみよう!
3. お金を稼ぐためのシステム思考

「マインドセットを整えればお金が増える」は本当か?💰️
「お金は簡単に手に入る」系のアファメーションが、いまいち効果がないというか、ピンとこない人はいないだろうか?私は、まさにそのタイプだった。いくら「簡単」と言っても、「それは違う!」と否定していた。
先日、私もメンターコーチのもと「お金のマインドセット」について他のプロコーチとワークをした。そこで気づいたのは、今まで「お金を稼ぐには一生懸命努力(ハードワーク)しなければいけない」と信じていると思っていたが、実は違っていた。
一生懸命に頑張るとかハードワークではなく、「稼ぐためには、まず苦痛や痛みが必要」と、無意識で信じていたのだ。お金に限らず、なにか良いことを得るには、先に痛みや苦悩がある。ある種の罰が必要という感覚に近い。
だから、お金は簡単というアファメーションでは効果がなかった。何かがうまくいかないときに、より自分を罰すること、痛みを感じる方向へと無意識に進んでしまう。
これは、とてもしんどい。ツライ。まったくもって救われない。重たい…
と思ったのだが、よくよく見るとこれほどアホらしい思い込みもない。まったくもって、ナンセンスだ。
実際は:
- 苦悩や痛みの量と収入は関係ない(長時間働いたからといって、収益が増えるわけではない)。
- お金を生み出すのは「つながり力」 である(Ep #133「人とのつながりを活かす」参照)。
- システムを作れば、安定的に収益が生まれる。
成功者は「努力」でも「願望」でもなく 「システム」 によってお金を生み出している。そこに苦悩や苦痛は必要ないどころか、全く関係ない。お金を生み出すシステムをつくるだけ。
お金を稼ぐのは簡単か?難しいか?💰️
ハッキリ言うと、そんなことは、どっちでもいい。簡単とか、難しいとか、大したことではない。簡単だから優れているとも思わないし、難しいからダメ悪いとも思わない。
実は、この難しいとか簡単というのは、私の根強い思い込みの一つだった。
例えば、
- 難しいと感じるのは、私のやり方が間違っている
- 難しいと感じるのは、私の能力が劣っているから
- 簡単に感じることが正しい
- 簡単だと言っている人がうらやましい(完全に妬みですね)
- もっと簡単に楽にやりたい
こんな風に、簡単とか難しいと感じることに、個人的なストーリーをたくさんくっつけていた。
が、実際は、今は難しく感じることも、練習したら1年後には簡単になっている。自転車に乗るとか、スノボを滑るとか、最初は難しくて全然できなかったけれど、練習を繰り返したら、簡単にできるようになる。
経験と共に変わるので、最初に難しいと感じるとか、簡単に感じるとか、ようは、できるようになればいいので、大した問題ではないということ。
逆に、難しいと感じのはおかしい。楽しくないとダメ。と思っていると、簡単に感じることしかしなかったり、難しいことを避けがちなので、現状維持にとどまってしまうことも多い。
現に、ライフコーチとして安定した収入を得るのは、難しい。それで良いのだ。難しいけれど、やるのか、難しいからやらないのか。どちらの選択肢もあるなかで、自分で選ぶ。その結果が現実になる。
簡単な方が良いことは、単純作業でできること。チケットを買うとか、パソコンとかは簡単にできる方が便利だ。この便利さ加減や単なる作業では簡単であることは、よいことだ。
これと、長期的なスキルを手に入れるときは、難しいことを受け入れて楽しみながらすすめるシステムを持つ人が、強いのも分かる。
新しいお金のアファメーション💰️

お金との関係は、誰もが人知れず複雑になっている。育ってきた家庭環境や、社会の常識、大人の言葉も影響する。
私の稼ぐためには、まず苦痛や痛みが必要というビリーフも、親の影響もあるだろうが、特に終戦間際、戦後うまれの大人達の影響も大きいと思う。今の40代、50代は、敗戦直後に子供時代を過ごした大人達に教育された世代だ。
小学校時代を広島で過ごした私は、終戦というより敗戦国としてのストーリーを繰り返し聞いた。そして経済成長を子供時代に見ながら、就活する頃にバブルが弾けた。育っていく中で、知らず知らずに、罰せられた後に復活する、そんなストーリーを自分のアイデンティの一部にしてしまった。
親世代のストーリーも複雑だろうと思う。
そんな事を考えながら、新しいアファメーションを作った。
それは、
💰️システムがお金を創る
💰️優しさがお金を創る
💰️楽しさがお金を創る
💰️創造性がお金を創る
というもの。これは、私の内側から出てきた言葉で、とても馴染むし、素直に信じることができる。
あなたにとってのお金の関係をあらわすアファメーションをぜひ考えてほしい。
4. 今のシステムを検証して、新しいシステムを作る
「うまくいかないのは、システムが悪いだけ」
多くのコーチ、とくに新人コーチは、コーチングの問い合わせがなく集客できないのは、
- 自分に人気がないから
- 自分の人望がないから
- 自分にはそれほどの価値がないから
- 自分は誰からも相手にされていないから
- 自分にはコーチとしての才能がないから
と考えがちだ。しかし、本当にそうだろうか?
これまで十数人のライフコーチをサポートしてきたが、コーチングの問い合わせがないのは、ハッキリ言って人望でも、人気でも、性格でもない。コーチ自身の「人」の問題ではない。
単に、コーチングをの問い合わせが来るような「行動」をしていない。日々の生活の中で、クライアントを増やすためのシステムを作っていないことが、本当の原因だ。
または、システムがまだ安定してクライアントが増えるまで育っていない。時間の問題。トマトの実になるのに、2ヶ月、3ヶ月かかるのとおなじ、実がなるために必要な時間がある。
現状のシステムを検証する

もしクライアントが増えないのであれば、それは現在のシステムが悪いだけ。必ず現在のシステムを特定してから、次の新しいシステムをつくることが大切だと、スティーブは言う。
例えば、次のような視点で現状のシステムを見直してみよう。
- 「クライアントが増えない」→ クライアントを獲得するシステムか?
- 「行動が続かない」→ 習慣化の仕組みはあるか?
今のシステムがどういうものか?客観的にみてみよう。そのシステムを続けていたら、結果が出ると感じられるだろうか?
もし、今の行動を続けていても、クライアントが増える気がしない。とてもキツイと感じるならば、システムがあっていない。新しいシステムを導入する時期だ。
正しい戦略を実行するシステムを作る
システムを構築する際、重要なのは 「正しい戦略」に基づいたシステムを作ることだ。
例えば、エクゼクティブコーチやライフコーチとして安定した収入を得るなら、1:1のクライアントを安定して増やすための戦略かどうかが、肝心要だ。
インスタで毎日発信!リールを毎週4本アップ!とかやっていると、1年たってもほとんど集客できていない。問い合わせもない。というコーチがおそらく99%だろう(体感値だが)。
だからもしあなたがそんなコーチの一人でも気を落とすことはない。大丈夫。ぶっちゃけ皆できていない。
今の時代、どうしてもオンライン集客が目につきやすい。簡単に始められる。あなたは、コーチとして1:1のクライアントを増やしている人に学んでいるだろうか?
正しい戦略を見極めるのは、初心者にはほぼ不可能だ。情報が多すぎるうえ、皆がそれぞれ違うことを言う。
鉄則は「できている人から戦略を学ぶ」。これに徹する。
コーチとして1:1のクライアントを増やしたいなら、ライフコーチとして1:1のクライアントを増やしている人に戦略を教えてもらい、コーチをしてもらうことだ。それ以外は、遠回りだ。
正しい戦略を、実行にうつすための習慣化をシステムがやってくれる。
システムを作る際は、すでに成功している人の戦略を教えてもらうこと。
私も、コーチとしてクライアントを増やす戦略は、この本の著者スティーブ・チャンドラーから学んだ。また彼の愛弟子から直接コーチングを受けている。
日本の何人かのコーチにも聞いたのだが、この戦略を実践しているコーチ、教えられるコーチには、日本ではまだ出会っていない。
ハイエンドコーチのための上質なクライアントを増やす戦略の基本は、こちらの記事を参考にしてほしい。

新しいシステムを試す
新しいシステムを作ったら、それがきちんと成果をだすのか試す。机上の空論では、意味がない。もし行動が続かない、期待したような結果が出ないのであれば、もういちどシステムを見直す。
この作業も一人では見落とすことが多いので、コーチなどプロの話の聞き手を持ちながら、進めよう。
まとめ
ライフコーチが成功するための3つのポイント
- マインドセットだけでなく、システムを作ることが成功の鍵
- うまくいかないときは、自分のせいを疑う前に「システム」を検証しよう
- 大事な戦略とシステム作りは、すでに成功している人の支援を受ける
マインドを整えることは大切ですが、それだけでは現実は変わらない。長期的に結果を出すには、「行動をサポートするシステム」を持つことが不可欠 だ。
あなたは今、どんなシステムで行動している?そのシステムは望む結果をだしているだろうか?
ぜひ、自分のシステムを見直し、新しい仕組みを作る第一歩を踏み出していこう!
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