セルフ・コンパッション（自己への思いやり）と聞いて、どんなことを感じるだろうか？
どこかこそばゆい？自分に優しくしてもいいの？戸惑い？
日本ではまだ馴染みの少ないが、「自分への思いやり」は、Googleでも注目を集める新しい概念の一つだ。
グロービス経営大学院教授の若杉忠弘先生は、セルフ・コンパッションの重要性とその実践方法について深く探求されている。特にビジネスシーンでリーダー向けにセルフコンパッションを伝えている。
今回は、若杉先生へのインタビューをもとに、セルフ・コンパッションの力とその効果的な取り入れ方についてご紹介したい。
ポッドキャストはこちら。
若杉先生とセルフ・コンパッションの出会いや、そのすごい力や、使う時の注意点、仏教や武道の世界にみられるセルフ・コンパッションなど幅ひろくお話をうかがった。若杉先生いわく「聞くだけでセルフ・コンパッション力がアップする！」内容をお伝えしている。
セルフ・コンパッションとは？
セルフ・コンパッションとは、自己への思いやりや優しさを持つこと。
具体的には、失敗や困難に直面した際、自分を厳しく批判するのではなく、友人や家族に接するような温かさと理解を自分自身にも向ける。このアプローチは、自己批判やダメ出しから生じるストレスや不安を減らし、心の健康を保つのに効果的だと、多くの研究で示されている。
セルフ・コンパッションの効果
セルフ・コンパッションを実践することで、個人、チーム、組織のウェルビーイング（幸福感）とパフォーマンスが向上することが示されているそうだ。
例えば、以下の効果があることが分かっている。
- ストレスの軽減：自己批判を減らすことで、ストレスレベルが低下する。
- モチベーションの向上：失敗を成長の機会と捉え、前向きな姿勢になる。
- 人間関係の改善：自分に優しくすることで、他者にも優しく接することができ、人間関係がうまくいく。
- 完璧主義からの脱却：全部を完璧にしないといけないというプレッシャーが弱まる。
セルフ・コンパッションの研究の第一人者のKristin Neff 博士のTEDトークはこちら（英語）。
リーダーのセルフ・コンパッションの役割
特にビジネスの場面において、セルフ・コンパッションは重要である。多くのリーダーは自己批判的になりがちでだが、自分に優しくすることで、より良い意思決定ができ、チームに対しても共感を持って接することができまる。
また、研究によると、セルフ・コンパッションを実践するリーダーは、ストレスに強く、創造的な問題解決ができることが分かっている。
若杉先生は、ビジネスしシーンでは、まずリーダーからセルフ・コンパッションを取り入れることを進めている。
セルフ・コンパッションを高める3つの方法
若杉先生に聞いた、セルフ・コンパッションを日常生活に取り入れるための具体的な方法を以下に紹介する。
１．セルフ・コンパッションをググる！
そして記事をよんだり、動画を見て、セルフ・コンパッションについて知る
２．スマホの待受にセルフ・コンパッションと表示する
一日にスマホを見る回数は50回とも言われるので、セルフ・コンパッションを思い出すにはスマホに表示するのが一番！
またはリマインダー機能を使って、1,2時間おきにセルフ・コンパッションと表示するのもOK！
３．しんどい、ツライと感じた時に体を触る
胸に手をあて、手のぬくもりを感じたり、お腹に手をあてる。上司から怒られた、失敗した、つい自分を責めて反省モードになるシーンでやると効果大！
これらの実践を通じて、セルフ・コンパッションを日常生活で簡単に練習できる。
セルフ・コンパッションと自己肯定感の違い
セルフ・コンパッションと自己肯定感は似ているようで、違う概念。若杉先生は、自己肯定感を研究しようとしたが、自己肯定感を高めることの副作用もあり、研究することをやめられたとのこと。Neff 博士も、自己肯定感を高めようとすると、どうしても他人と比較して、平均よりも高い自分でることを求め続けてしまう問題を指摘している。
他にも、自己肯定感を守るために失敗の責任を他人に転嫁してしまうケースも見られる。さらに進むと、パワハラなどにも発展するので注意が必要だ。
自己肯定感は、自分の価値や能力を高く評価することに焦点を当てるが、セルフ・コンパッションは、評価ではなく、自己への優しさや理解に重点を置く。
若杉先生は、うまくいかない状況や失敗した時など、自己肯定感を高めることが難しい状況でも、セルフ・コンパッションを実践することで、自己批判を和らげ、心の健康を保ち、新しい挑戦へと向かうしなやかな心になると指摘する。
まとめ
セルフ・コンパッションは、自己への優しさと理解を持つことで、ストレスの軽減やモチベーションの向上、人間関係の改善など、多くのメリットをもたらすと、その効果が科学的にデータで示されている。日常生活やビジネスシーンでセルフ・コンパッションを取り入れることで、より健全で充実した人生を築くことができる。若杉忠弘先生の研究や実践から学び、セルフ・コンパッションの力を活用してほしい。
若杉先生のホームページ：Compassion Center
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